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犬猫の吸入治療

2020年11月26日

これからの季節気温が下がり、空気が乾燥するため犬や猫たちも呼吸器疾患が悪化する傾向にあります。

気管虚脱や慢性の気管支炎、鼻炎などは完治することが難しく、継続的な治療が必要になります。

この時超音波ネブライザーによる吸入治療は非常に有用です。

全身性の投薬に比べて、副作用も少なく直接薬剤を病変部(鼻腔や気管、気管支)に届けられるので効果的です。

衣装ケースを利用して霧化した薬剤を吸入させています。

湿度が上るのでフレブルさんやパグさんは熱中症にならないよう注意が必要です(保冷剤を入れて実施することもあります)。

少々高価ですが超音波ネブライザーを購入していただければ、ご自宅で継続的に吸入治療を実施することも可能です。

これが難しいようであれば、動物をお湯をはったお風呂の脱衣所で10分程度過ごさせるのも上部気道疾患の症状改善に効果があると思います。

また加湿器を使用したり、濡れたタオルを1枚干しておいたり部屋の湿度を保つ工夫もしてげると良いでしょう。

犬の僧帽弁閉鎖不全

2020年11月24日

中高齢の犬で心雑音が聴取された場合、第一に僧帽弁逆流を疑います。

僧帽弁は左心房と左心室を分ける弁膜で、これが変性して閉まりにくくなると

左室から左房へ血液の逆流が起こります。

逆流量が増加すると左心房の圧力が上昇し、さらに上がると肺静脈の圧力も上昇し肺に水が漏れだします(肺水腫)。

僧帽弁閉鎖不全症の病態を把握するのに超音波検査は非常に有用です。

軽度な僧帽弁逆流が線状に描出されています。

この程度の逆流であれば投薬の必要はありません。

同じ子の9か月後のエコー画像です。

逆流量が増加し、左心房の拡大がみられます。

飼い主さんからみると症状は全くないとのことでしたが、投薬を開始しました。

心臓に雑音がある場合症状が明らかでなくても、その雑音の原因追求と病態把握のために超音波検査を受けることをお勧めします。

特にキャバリアさんチワワさんマルチーズさんは僧帽弁疾患が多いので注意が必要です。

 

歯科ユニットの紹介

2020年10月26日

歯周病に罹患する動物たちは非常に多く

当院でも全身麻酔下での歯石除去や抜歯をする機会が増えています。

これらの処置を迅速かつ正確に実施するため、歯科ユニットを導入しており

ます。

 

高速回転の切削バーを使用して、歯の分割や歯槽骨の切削を迅速に行うことができます。

水とエアーを同時に噴出できるので、歯石除去後の口腔内をしっかり洗浄できます。

ラバーカップと研磨剤で歯石除去後の歯の表面を研磨し、スケーリングの仕上げをおこないます。

歯周ポケットには歯科用抗生剤を充填し、歯肉炎の改善をうながします。

歯石の付着、歯肉炎は口腔内の感染症です。

ここから全身性に感染が広がる(心内膜炎、腎炎、関節炎など)ことも示唆されていますので、歯周疾患は早期に治療することと予防が重要です。

専門的な矯正や歯髄の処置はできませんが、

基本的な歯科処置については対応可能ですので、口臭や歯周病でお困りの方はご相談ください。

 

フェレットの胃内毛球症

2020年10月20日

食欲不振と元気消失、間欠的な嘔吐を主訴に、フェレットさんが来院されました。腹部を触診すると胃の位置に何か触知できるものがあり、エコー及びレントゲン検査にすすみました。

造影剤を飲ませて半日後のレントゲン写真です。

胃内異物が造影されています(赤い斜線部分)。

触診とエコーで胃の中の異物は診断可能ですが、大きさの確認や飼い主さんへの説明のために造影レントゲン検査をすることがあります(診断目的に造影剤を使用することはほとんどなくなりました)。

毛球を摘出し縫合が完了した胃です。

摘出された毛球です。

「毛球症」というとウサギを連想される方が多いと思いますが、意外とフェレットの毛球症は多いです。

中高齢で消化管型リンパ腫や炎症性腸疾患を発症し、胃腸の違和感からグルーミングが増えたり、副腎疾患を発症し脱毛が増えるたりすることも毛球症の原因として考えられます。

時々嘔吐して痩せてきた、便が黒っぽくべたっとしていることがあるなどの症状があるときは、元気があっても受診をお勧めします。

 

血液凝固検査器を導入しました

2020年9月18日

血液凝固検査器COAG2を導入しました。

血液凝固(血が固まるかどうか)の検査を今までは外部検査機関に依頼をしていましたが、院内で迅速に測定することが可能になりました。

これにより侵襲性の大きな手術の術前評価や血栓症などの疾患の評価が充実しております。

犬の大腿骨頭壊死症

2020年9月1日

大腿骨頭壊死症は、虚血により大腿骨頭が壊死して変形し、股関節に痛みが出る病気です。

6か月から1歳程度での発症が多く、治療は基本的に手術で、痛みの原因になる変形した骨頭を切除します。

術前、術後のレントゲン写真です。

【術前】矢印:変形した骨頭 直線:骨切りライン

【術後】

術後は痛みを伴いますので、アイシングや消炎鎮痛剤をしっかり使用します。

また手術した足をできるだけ使うようにリハビリをすることも非常に重要です。

大腿骨頭壊死症は病態初期に発見して、手術により痛みをとることが早期の回復につながります。

若い犬が後ろ足に違和感を覚える場合は、様子をみずに一度動物病院を受診されてください。

フレンチブルドッグの皺襞皮膚炎

2020年7月28日

おしりを痒がってこすりつけることを主訴にフレンチブルドッグさんが来院しました。この子は生まれつき尻尾が変形し、皮膚にめり込むような形になっていました。

この尻尾と皮膚の間で皮膚炎が起こっており、外用薬や洗浄ではなかなかなおらず経過していました。

こういった場合皮膚のヒダになっている部分を切除するという選択肢があります。今回は変形した尾骨の先端と余った皮膚を切除しました。

1週間後の術部の写真です。炎症も消失し、おしりをこすりつける行為もなくなり飼い主さんも大変喜ばれていました。

物理的な構造が皮膚炎の原因になっている場合、手術という選択肢もあるのを知っていただければと思います。

パグの肺葉捻転

2020年6月5日

突然の頻呼吸、食欲、元気消失を主訴に2歳のパグ犬が来院しました。

すぐにレントゲン検査、エコー検査、血液検査を実施しました。

レントゲンでは右の肺に境界明瞭な不透過性亢進領域(白い部分)がみられ

まず肺炎を疑いました。

しかし、レントゲンの白い部分にエアーブロンコグラム(空気の通り道)がみられません。エコーで右の肺をみてみると、含気していない肺と思われる構造物ががあり、この領域に空気、血流ともに認められませんでした。

以上の所見から肺葉捻転を強く疑いました。

肺葉捻転とは肺葉がその付け根で捻じれてしまい、血流(血管)と空気(気管支)が遮断されてしまう状態です。

ここで肺葉捻転52例をまとめた文献があったので紹介します。

この論文には、肺葉捻転の際の肺の外科的切除の成績はとても良く(92%が回復)、また肺葉捻転は基本的にアフガンハウンドなどの胸の深い犬種や胸水などの基礎疾患がある犬に多くみられるが、例外としてパグの頭側の肺に起きやすいという記載がありました。

これ読んで、特発性の肺葉捻転がパグ犬に起きやすいというのをはじめて知り、入院第4日目に右肺の外科的切除を実施しました。

切除した肺の断面です。肺は本来ピンクでフワフワなんですが、全く含気しておらず硬化し、まるで肝臓のようでした。

また胸水と肺葉の断面から細菌は検出されませんでした。

術後の回復は驚くほど早く、手術翌日から食事も食べれるようになり、今では元気いっぱいです。パグ犬の急性の呼吸器症状では、稀ですが肺葉捻転も鑑別診断として考えなければなりません。

 

マスクが届きました

2020年6月3日

本日病院のポストをみてみるとマスクが届いていました。

緊急事態宣が解除され、気持ちのゆるみがちなこの時期に届いてくれたのはかえって良かったかなと思います。

当院でも引き続きコロナウィルスの感染拡大防止のため、マスクの着用に協力をお願いいたします。

ハリネズミの消化管型リンパ腫

2020年5月12日

リンパ腫はハリネズミで比較的よく遭遇する疾患で、リンパ節や血液などに存在するリンパ球が腫瘍化して過剰増殖する病気です。

症状は発生する場所によってさまざまで、体表のリンパ節が大きなることもあれば、今回のようにお腹の中のリンパ節が大きくなり、下痢や食欲不振の症状を呈することもあります。

超音波検査の所見です。脾臓の尾側に腫瘤(しこり)ができています。

血管の周りのリンパ節もかなり大きく腫大しています。

リンパ腫は完治することが難しく治療は、抗癌剤の投与、ステロイド剤の投与、支持療法として胃腸薬や抗生物質などの投与に限られます。

下痢や嘔吐が続き脱水症状になってしまうことも多く、写真の子は点滴、投薬のために静脈確保をおこなったところです。

ハリネズミさんに限らずですが、何か気になる症状がある場合は様子をみないで早めに受診されてください。

 

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