デグーの外傷
2023年9月29日
デグーさんは多頭飼育が推奨されていますが、時々ケンカによる外傷で来院されます。
小さな傷であれば内服のみで様子をみますが、今回は裂傷が大きかったので全身麻酔をかけて傷を洗浄したのち、吸収性の糸で縫合しました。
傷の周囲は剃毛してもよいのですが、切れた細かい毛が傷に入ると洗浄してもなかなかとれないので、今回はあえて毛刈りはしませんでした。
前歯がかなり鋭いので、相性をしっかりみて同居を考えなければいけません。
ウサギの不正咬合
2023年9月26日
最近ごはんが食べにくそうという主訴でウサギさんが来院しました。
前歯(門歯)の不正咬合です。
当院では門歯の処置は基本的(ウサギさんの性格によります)に無麻酔で歯科用エンジンの切削バーを用いて
おこないます。ニッパーなどで切るより歯根の損傷を起こしにくく、きれいなラインで切削できます。
こういった場合1~2ヶ月に1度定期的に歯科処置が必要になることが多いです。
奥歯(臼歯)の処置については全身麻酔をかけて実施します。
全身麻酔下歯科処置
2023年9月18日
犬の歯周病の罹患率は非常に高く、全身麻酔下での歯石除去や抜歯及びその後のデンタルケアが必要になります。
診察時の写真です。痛がってよくみせてくれませんでした。
全身麻酔下で観察すると、歯石の付着とそれに伴う歯周炎がかなり進行していることがわかりました。
歯の根っこまで歯石がついてグラグラしてしまうと、抜歯をして洗浄するしかありません。
麻酔が必要になりますが、歯石が付着している場合は早めに処置を受けていただきたいです。
ヨツユビハリネズミの多発性扁平上皮癌
2023年7月2日
ハリネズミさんが頭部と左後肢に大きな腫瘤と同部位からの出血を主訴に来院しました。
腫瘤は大きなかさぶたのようになっていて、非常に脆弱で他の部位にも類似した病変が多発していました。
写真は左後肢の病変です。
文献を検索してみると2021年に「ヨツユビハリネズミに発生した多発性の皮膚乳頭腫および扁平上皮癌」が奥村らによって報告されており、パピローマウイルス感染の関与が記載されています。
ウイルス感染による多発性病変の疑いが強いため根治目的ではなく、出血の制御のために腫瘤を摘出することとしました。
黄色の丸が今回摘出した箇所で赤丸は残存する多発性の病変です。
術後の経過は良好で、出血が制御され食欲と元気が改善しました。
飼い主さんのお話を聞く限り、ハリネズミさんに断脚が生活に与える影響は少ないようです。
残存した病変が増大し今回のようになる可能性があるため、
外用の抗癌剤を使用しながら経過を観察しています。
全身麻酔下歯石除去
2023年5月15日
全身麻酔下での歯科処置は当院でも比較的多く実施する処置です。
全身麻酔が必要なため、処置に対して抵抗のある飼い主様も多いですが、
重大な基礎疾患がなければ、安全におこなえます。
このため、術前の全身状態の把握(血液検査、超音波検査、レントゲン検査など)が非常に重要です。
また歯石の付着に伴う歯周病が重症化する前に実施することが望まれます。
歯周病が進行してグラグラする歯は基本的に抜歯することになるからです。
【処置前】
【処置後】
処置後に予防のためのケアを継続することもとても大切です。
口臭が気になる、歯石が気になる場合は早めに動物病院でみてもらいましょう。
犬皮膚組織球腫
2023年4月18日
若齢のフレンチブルドッグさんが右前肢のできものを主訴に来院しました。
しこりに針を刺して細胞の検査を実施しました。
期
細胞核が偏在する卵型の細胞が炎症細胞とともに採取され、犬皮膚組織球腫(退行期)と診断しました。
この腫瘍は基本的に自然退縮するケースが多いため、切除ではなく経過を観察することにしました。
体表にしこりを見つけた場合は、まず細胞検査を受けましょう。