中高齢の犬で心雑音が聴取された場合、第一に僧帽弁逆流を疑います。
僧帽弁は左心房と左心室を分ける弁膜で、これが変性して閉まりにくくなると
左室から左房へ血液の逆流が起こります。
逆流量が増加すると左心房の圧力が上昇し、さらに上がると肺静脈の圧力も上昇し肺に水が漏れだします(肺水腫)。
僧帽弁閉鎖不全症の病態を把握するのに超音波検査は非常に有用です。
軽度な僧帽弁逆流が線状に描出されています。
この程度の逆流であれば投薬の必要はありません。
同じ子の9か月後のエコー画像です。
逆流量が増加し、左心房の拡大がみられます。
飼い主さんからみると症状は全くないとのことでしたが、投薬を開始しました。
心臓に雑音がある場合症状が明らかでなくても、その雑音の原因追求と病態把握のために超音波検査を受けることをお勧めします。
特にキャバリアさんチワワさんマルチーズさんは僧帽弁疾患が多いので注意が必要です。