1週間ほど前から調子が悪い(膨らんであまり動かない)セキセイインコさんが来院しました。呼吸が早く尾が上下していました。
このような状態の鳥を無理に保定すると急死してしまうことがあるので、
十分酸素化してから短時間で検査を行う必要があります。
腹部エコーで腹水貯留はなかったので呼吸器疾患、甲状腺疾患を考えレントゲン検査を実施しました。撮影時の保定でキューキューと声が出てしまう症状がみられたため、甲状腺や鳴管の病気を強く疑いました。
赤矢印で囲まれているところが腫大した甲状腺です。気管が押し下げられています。(精巣領域にmass陰影があるのも気になります。→精巣腫瘍疑い)
レントゲンでは胸郭の入り口付近に甲状腺腫大を疑わせる不透過性領域がみられ、甲状腺疾患(甲状腺腫または甲状腺癌)と診断し、内服を開始しました。
甲状腺腫は食餌中のヨード不足で甲状腺ホルモンが低下し、それを補おうと甲状腺が腫大して呼吸困難などの症状を起こす疾患です。
初週の内服はステロイド、甲状腺ホルモン、ヨードを含むビタミン剤を使用しました。
再診時は呼吸も正常にもどり、保定をしても声は出なくなってなっていました。
今後は水にヨードを含むビタミン剤を混ぜてもらい、再発しないように経過をみていきます。
鳥の呼吸に異常を感じたときは、様子をみないですぐに動物病院に連れていきましょう。