第三眼瞼腺突出の整復手術
2022年6月15日
左目の内側から赤いものが出ていることを主訴に若齢のダックスさんが来院しました。
赤く腫れて飛び出してきてしまったのは第三眼瞼腺で、治療には基本手術が必要になります。
当院ではポケット法というやり方で整復をおこないます。(この腺は涙を作っているので切除してはいけません)
飛び出した第三眼瞼腺の上下に切開を加え剥離をします。
切開線の下に脱出した第三眼瞼腺が収まるように縫合していきます。
縫合完了したところです。切開線の両サイドは涙液が出るよう解放しておきます。
術後はカラーを装着し、点眼をします。
眼の異常については専門医をご紹介することもありますが、当院でも基本的な手術は可能ですのでご相談ください。
デグーの過長歯
2022年4月30日
以前にも投稿しましたがデグーマウスは歯のトラブルが非常に多くみられ、
柔らかいものしか食べない、口をやたらモゴモゴする、口の周りがよだれで汚れているなどの症状がみられます。
切歯が伸びすぎると上顎に刺さってしまうこともあります。
(左:処置前、右:処置後)
矢印:過長歯
臼歯は一般的に下顎は舌側に、上顎は頬側に伸びて粘膜を刺激し、ときに潰瘍をつくります。
(左:処置前、右:処置後)
(左:処置前、右:処置後)
デグーさんに口の違和感があるときは早めに受診されてください。
ただし口腔内検査は全身麻酔が必要になります。
猫の糸の誤食(ひも状異物)
2022年3月29日
3日前から何も食べず時々嘔吐がみられることを主訴に若い猫さんが来院しました。口腔内検査をすると舌の付け根にオレンジ色の糸が引っかかていました。
写真は気管挿管後に撮影したものです。
さらに腹部超音波検査で下のような所見がみられました。
グネグネに波打った消化管の中心にまっすぐ高いエコー(白い)のものがみられます。これらの所見よりひも状異物の閉塞を強く疑い、緊急開腹手術となりました。
糸によってたぐり寄せられてしまった消化管です。
数か所の腸切開により糸を分断して摘出しました。幸い穴が開いてしまった箇所がなく順調に回復してくれました。
猫たちはひも状のものを口にするこが多く、うちの猫もウンチからマスクの紐が出てきたことがあります。ひも状物が長く、どこかに引っかかってしまうと今回のような命に係わることになりますので注意が必要です。
トイプードルの膝蓋骨内方脱臼
2022年2月16日
膝蓋骨内方脱臼は小型犬に非常によくみられる病気で、
本来膝の正面にあるべき膝蓋骨が、内側に脱臼してしまう状態です。
症状は突然後ろ足を痛がって挙上しつかなくなったり、全く症状がなかったりと様々です。
当院では基本的に痛みや違和感が強い場合や、脱臼による脛骨(膝下の骨)内側への捻じれがひどい場合に手術を提案しています。
手術は、内側の筋肉を膝蓋靭帯から離切し、造溝術、脛骨粗面転移術、関節包外側の縫縮を組み合わせて実施します。
脛骨粗面転移術(膝蓋靭帯が付着する骨を切り外側に移動させ、膝蓋骨を脱臼しにくくする手術)脛骨粗面を離断し位置をずらしピン〇で固定します。
造溝術(溝を深くして膝蓋骨を脱臼しにくくする手術)はメスを使用し、隙間ができないようにしています。
術前のレントゲンです。膝蓋骨〇が内側に脱臼し脛骨粗面▽の位置も内側になっています。
術後のレントゲン写真です。膝蓋骨〇、脛骨粗面▽ともに正面の位置に矯正されています。
後ろ足を時々挙げたり、歩き方に違和感がある場合は、膝蓋骨脱臼の可能性もあるのでご相談ください