セキセイインコの卵管摘出
2022年9月2日
メスのセキセイインコさんは繁殖器に係わる疾患が非常に多くみられます。
卵詰まりが代表的ですが、卵の材料が卵管に蓄積してしまったり(卵管蓄卵材症)
卵巣卵管に腫瘍ができてしまうこともあります。
下の写真の子はお腹が腫れてきたことを主訴に来院し、
超音波検査で卵管の病変が疑われ、卵管摘出の手術を実施しました。
左が術前、右が手術直後の写真です。
以前にも投稿しましたが、手術はリスクが低くありません。
なのでとにかく発情を抑えて飼育し、病気を予防することが最重要です。
発情抑制で有効なのが食餌量の制限です。
たくさんのシードまたはペレットを置きっぱなしにするのではなく、
体重が過多にならない量の食事量を毎日計測して与えるのが理想になります。
少々手間ですが、病気の予防のために必ず守って頂きたい飼育法です。
にゃーとセル子
2022年7月11日
ご存じの方もおられると思いますが、うちの病院には猫が2人います。
一人は以前ブログで投稿した鎖肛で手術をしたスコティッシュフォールドで名前はにゃーです。
もう一人はセルカークレックスという品種のセル子ちゃんです。
二人とも幼少期に大病を患いましたが、今はとても元気に過ごしています。
キャットウォークをDCMカーマさんで材料を買って作ったのですが、たまにしか遊んでくれません。
悲しい。
第三眼瞼腺突出の整復手術
2022年6月15日
左目の内側から赤いものが出ていることを主訴に若齢のダックスさんが来院しました。
赤く腫れて飛び出してきてしまったのは第三眼瞼腺で、治療には基本手術が必要になります。
当院ではポケット法というやり方で整復をおこないます。(この腺は涙を作っているので切除してはいけません)
飛び出した第三眼瞼腺の上下に切開を加え剥離をします。
切開線の下に脱出した第三眼瞼腺が収まるように縫合していきます。
縫合完了したところです。切開線の両サイドは涙液が出るよう解放しておきます。
術後はカラーを装着し、点眼をします。
眼の異常については専門医をご紹介することもありますが、当院でも基本的な手術は可能ですのでご相談ください。
デグーの過長歯
2022年4月30日
以前にも投稿しましたがデグーマウスは歯のトラブルが非常に多くみられ、
柔らかいものしか食べない、口をやたらモゴモゴする、口の周りがよだれで汚れているなどの症状がみられます。
切歯が伸びすぎると上顎に刺さってしまうこともあります。
(左:処置前、右:処置後)
矢印:過長歯
臼歯は一般的に下顎は舌側に、上顎は頬側に伸びて粘膜を刺激し、ときに潰瘍をつくります。
(左:処置前、右:処置後)
(左:処置前、右:処置後)
デグーさんに口の違和感があるときは早めに受診されてください。
ただし口腔内検査は全身麻酔が必要になります。
猫の糸の誤食(ひも状異物)
2022年3月29日
3日前から何も食べず時々嘔吐がみられることを主訴に若い猫さんが来院しました。口腔内検査をすると舌の付け根にオレンジ色の糸が引っかかていました。
写真は気管挿管後に撮影したものです。
さらに腹部超音波検査で下のような所見がみられました。
グネグネに波打った消化管の中心にまっすぐ高いエコー(白い)のものがみられます。これらの所見よりひも状異物の閉塞を強く疑い、緊急開腹手術となりました。
糸によってたぐり寄せられてしまった消化管です。
数か所の腸切開により糸を分断して摘出しました。幸い穴が開いてしまった箇所がなく順調に回復してくれました。
猫たちはひも状のものを口にするこが多く、うちの猫もウンチからマスクの紐が出てきたことがあります。ひも状物が長く、どこかに引っかかってしまうと今回のような命に係わることになりますので注意が必要です。