ハリネズミさんが頭部と左後肢に大きな腫瘤と同部位からの出血を主訴に来院しました。
腫瘤は大きなかさぶたのようになっていて、非常に脆弱で他の部位にも類似した病変が多発していました。
写真は左後肢の病変です。
文献を検索してみると2021年に「ヨツユビハリネズミに発生した多発性の皮膚乳頭腫および扁平上皮癌」が奥村らによって報告されており、パピローマウイルス感染の関与が記載されています。
ウイルス感染による多発性病変の疑いが強いため根治目的ではなく、出血の制御のために腫瘤を摘出することとしました。
黄色の丸が今回摘出した箇所で赤丸は残存する多発性の病変です。
術後の経過は良好で、出血が制御され食欲と元気が改善しました。
飼い主さんのお話を聞く限り、ハリネズミさんに断脚が生活に与える影響は少ないようです。
残存した病変が増大し今回のようになる可能性があるため、
外用の抗癌剤を使用しながら経過を観察しています。